「心配事の9割は起こらない」から、心配する必要はないという話がありますよね。
しかしその話、実は嘘で心配はしたほうがいいという話もあります。
そこで今回は、「心配事の9割は起こらない」は嘘と言える理由について解説していきます。
「心配事の9割は起こらない」は嘘と言える理由4つ
「心配事の9割は起こらない」という話が嘘だと言えるのは、なぜなのでしょうか。ここからはその理由について解説していきます。
1. 心配したおかげで回避できている
「心配事の9割は起こらない」が嘘と言えるのは、心配したおかげで心配したトラブルを回避できている可能性があるからです。
心配な気持ちになると、それが現実にならないため、様々な対策を講じますよね。
事前に準備したり、そのような場面が訪れた時にどうするべきか考えたりするようになります。
つまり、心配したことによって、行動が変化しているのです。
もしもまったく心配をしていなかった場合、リスク回避のための行動をとらなくなるため、回避できたはずのトラブルが起こってしまうこともあるでしょう。
健康上の心配事があって定期的な健康検査を受けていれば、早期発見や予防措置を取ることができることもありますよね。
そのため、心配はむしろしたほうが良い結果を得られることも少なくないのです。
2. 人生を長い目で見れば多くの心配事が起こり得る
「心配事の9割は起こらない」という言葉は、短期的な視点で捉えた場合には成り立つかもしれません。
しかし人生全体で見ると、様々な心配事が起こり得る可能性があります。
例えば、仕事のプレゼン発表があり、様々なことを心配して準備しているとしましょう。
いざプレゼン発表をしたときには、準備した9割のことは必要のないものだったということは起こり得るでしょう。
しかしだからといって、準備したことが完全に無駄になったわけではありませんよね。
次回プレゼンをしたときに、以前準備した回答を応用して答えを出せる場合もあります。
そして様々なリスクを考慮して、それに向けた準備をしたからこそ、自信を持てることもあるものです。
長い目で見れば、その心配事はいつか訪れるリスクの準備となっていることもあるため、9割全てが無駄だとは言えないのです。
3. 不安があるからこそ高いパフォーマンスが発揮できる
不安や心配は、時に高いパフォーマンスを発揮させる要因となることがあります。
実際に、人は多少の緊張や不安がないと、高いパフォーマンスを発揮できないという研究結果もあるほどです。
心配事があれば、状況をより真剣に受け止め、問題解決のために集中しますよね。
不安は私たちを慎重にさせてくれ、リスクを最小化するための行動を起こさせてくれるのです。
もちろん、不安や緊張を感じすぎると、パフォーマンス能力は落ちてしまいます。
しかし不安や緊張はまったく必要のないものというわけではないため、「心配するからこそ心配したことが起きない」、逆に言えば「心配しなければ心配しなかったことが起こる」ということもあるのです。
4. 全般性不安障害の人を対象にした実験結果だから
「心配事の9割は起こらない」という話はそもそも、ペンシルベニア大学のルーカス・S・ラフレニエールの研究チームが行った実験がもとになった話です。
全般性不安障害(GAD)の学生に協力してもらい、心配事を10日間、定期的に書き起こしてもらい、30日間の間にその心配事が実際に起きたかどうかを調べたのです。
その結果、91.4%の心配事は起こらず、実際に起きた心配事も30.1%が思っていたほどのものではなかったということがわかりました。
これを知った学生たちは、心配事が現実にならないことを自覚し、全般性不安障害の傾向が減少したのです。
しかしここで注目したいのが、被験者は「全般性不安障害(GAD)の学生」だったという部分ですよね。
つまり、常日頃から普通の人よりも様々な心配をする人ということになります。
実際、彼らの心配事の中には、「空が落ちてくるかもしれない」という心配事もあったそう。
つまり、「心配事の9割は起こらない」という話は、全般性不安障害の人には当てはまりますが、一般の人に当てはまるかどうかはわからないのです。
そのため、「心配事の9割は起こらない」という話を嘘だとする意見も少なくないのです。
心配は成功の秘訣!
心配事の9割は起こらないという話は、心配し過ぎる人にとっては大事な考え方ですよね。
しかし心配するからこそ、良いパフォーマンスを発揮できたり、トラブルを避けられたりする側面もあります。
心配はしないほうがいいと一概にも言い切れないため、自分の性格に合ったメリットのある考え方を取り入れましょう。